「あえて困難な道を選んでどこかを目指していた二人」
一番仲のよい小学校時代からの友人と、お城の石垣のようなところをロッククライミングのような要領で、石づたいに進んでいた。
石垣は、かなり急で、私はおっかなゆっくびっくり手と足を石にかけながら慎重に進んでいた。
友人は、ものすごくあせっていて、さっさかさっさか進んでいた。
友人は、ノロノロしている私にイラついたようで、私に向かって「早くしなよ」というヒステリックな声を上げたと同時に、足を滑らせて10メートルほど下に落っこちてしまった。落ちたところは人通りの激しいオフィス街の道路上だった。
人々は、倒れている友人に関心を示すことなく、友人のそばをせわしく行き交っていた。
死んでしまったのだろうか? さっき特価で買った二個120円のフライドチキンをいっしょに食べようと思っていたのに。
と、スーパーの袋に入ったままのフライドチキンのパックを脳裏に描きながら、残念な気持ちになっていると、友人のうめき声がしたので、よかった、まだ生きている、と、安心した。
私は、ものすごく慎重に石をつたいながら友人のところまで降りていった。
途中、自分も友人のように足を滑らせて落っこちてしまうのではないか、という恐怖に襲われながら、必死で降りていった。
どうにかこうにか降りることができて、友人のところに行くと、
通りがかった男の人が友人を介抱しようとしているところだった。
男の人は、私に向かってにこやかに微笑みながらなんか言ったけど、何を言ったのか忘れてしまった。
続く
